建物や機械・備品・車両などの有形固定資産を使用することをやめることを除却(じょきゃく)といいます。
有形固定資産を除却した時は、除却時における有形固定資産の帳簿価額(取得原価から除却時までの減価償却額を控除した金額)を『固定資産除却損』勘定に振替えて損失処理します。
なお、除却する有形固定資産に売却価値がある(スクラップとして売れる見込みがあるなど)場合は、その売却見込額を『貯蔵品』勘定(流動資産)を使って計上し、売却見込額と除却時点における固定資産の帳簿価額との差額を『固定資産除却損』勘定を使って記帳することになります。
演習問題:有形固定資産の除却(じょきゃく)
当社が保有する機械装置(取得原価500,000円、前期末までの減価償却累計額400,000円、当期の除却時点までの減価償却費20,000円)について、使用見込がなくなったためこれを除却した。なおこの機械はスクラップ業者へ10,000円で売却することができる見込みである。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 400,000 | 機械装置 | 500,000 |
減価償却費 | 20,000 | - | - |
貯蔵品 | 10,000 | - | - |
固定資産除却損 | 70,000 | - | - |
固定資産を期中で除却した場合には、期首から除却時までの減価償却費を月割で計上することになります(月未満の端数は切り上げ)。
本設問においては除却品にスクラップとしての価値が見込めるため、これを貯蔵品に振り替え流動資産として資産計上しています。
もし、除却品にスクラップとしての価値が見込めない場合は除却時点における固定資産の帳簿価額をそのまま除却損として損失計上します(期中の減価償却費を計上せず、期首簿価を固定資産除却損に振り替える処理も考えられますが、会計的には期中の減価償却費を計上することが必要です)。
(関連ページ)
固定資産(こていしさん)の取得時の仕訳・記帳
固定資産を廃棄(はいき)した時の仕訳・記帳
有形固定資産を売却した(売った)時の仕訳・記帳
固定資産が滅失した時(火災損失・保険差益)の仕訳・記帳