減損の表示(貸借対照表と損益計算書)

減損を行った資産および減損損失の貸借対照表・損益計算書のそれぞれの表示は以下のようになります。

1.貸借対照表における表示

減損処理を行った資産の貸借対照表における表示は、原則として、減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除し、控除後の金額をその後の取得原価とする形式で行う。ただし、当該資産に対する減損損失累計額を、取得原価から間接控除する形式で表示することもできる。この場合、減損損失累計額を減価償却累計額に合算して表示することができる(固定資産の減損に係る会計基準 四1「貸借対照表における表示」参照)。


減損処理を行った資産の貸借対照表における表示方法については、減損処理後の金額をもって表示することが原則となっております(直接控除形式)。

たとえば取得原価1,000,000円、減価償却累計額が200,000円(減価償却累計額は間接控除)の資産について減損損失として300,000円を計上した場合の貸借対照表における表示はいかのとおりとなります。

(損益計算書の表示-原則:直接控除形式)
機械装置 700,000
△減価償却累計額 △200,000 500,000

減損損失300,000円は機械装置の金額から直接控除し、機械装置を700,000円(=取得原価1,000,000円-減損損失300,000円)として表示します。

上記の直接控除形式が原則的な表示となりますが、減価償却と同様に間接控除も認められます。その場合、減損損失累計額を減価償却累計額とは別々に表示する独立間接控除形式と減損損失累計額を減価償却累計額とを合算して控除する合算間接控除形式とがあります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第57項参照)。

(損益計算書の表示-容認1:独立間接控除形式)
機械装置 1,000,000
△減損損失累計額 △300,000
△減価償却累計額 △200,000 500,000
(損益計算書の表示-容認2:合算間接控除形式)
機械装置 1,000,000
△減価償却累計額 △500,000 500,000

合算間接控除形式の減価償却累計額500,000円は減損損失の300,000円と本来の減価償却累計額の200,000円の金額が合算して表示されています。

2.損益計算書における表示

減損損失は、原則として、特別損失とする。(固定資産の減損に係る会計基準 四2「損益計算書における表示」参照)。

減損損失は臨時的・偶発的に生じる損失ですので、損益計算書においては特別損失として表示します。

なお、重要な減損損失を認識した場合には、減損損失を認識した資産、減損損失の認識に至った経緯、減損損失の金額、資産のグルーピングの方法、回収可能価額の算定方法等の事項について損益計算書に係る注記事項として注記することとなります(固定資産の減損に係る会計基準 四3「注記事項」参照)。

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