有価証券の分類(金融商品会計基準)

一般的に有価証券という言葉は財産権を表章する証券全般を指すものですが、会計でいう有価証券とは、より具体的に金融商品取引法に規定する有価証券をいい、国債・地方債・社債(いわゆる公社債)や株式などを指します。

金融商品に係る会計基準では、企業の保有目的などから有価証券を次の4つに分類し、それぞれ評価基準や評価差額に関する取扱いを定めています(金融商品に関する会計基準・第15項以降参照)。

有価証券の評価基準・評価差額のまとめ

分類 評価 評価差額
売買目的有価証券 時価評価 当期の損益
満期保有目的の債券 取得原価又は償却原価 当期の損益
子会社・関連会社株式 取得原価評価
その他有価証券 時価評価 純資産(または損失)
1.売買目的有価証券

時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいいます。売買目的有価証券は時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益(有価証券評価損益)として処理することになります(金融商品に関する会計基準・第15項参照)。

2.満期保有目的の債券

満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券をいいます(債権と間違わないようにしてください)。満期保有目的の債券は取得原価をもって貸借対照表価額とすることになりますが、債券を債券金額(額面金額)より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければなりません(金融商品に関する会計基準・第16項参照)。

3.子会社株式及び関連会社株式

子会社及び関連会社の株式をいいます。子会社株式及び関連会社株式は取得原価をもって貸借対照表価額とします(金融商品に関する会計基準・第17項参照)。

4.その他有価証券

売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券を総称してその他有価証券といいます。その他有価証券は時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額はその合計額を純資産の部に直接計上する(全部資本直入法)、もしくは評価益は純資産の部に直接計上し、評価損のみを当期の損失として計上する(部分資本直入法)方法により処理することになります(金融商品に関する会計基準・第18項参照)。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加