消耗品費の仕訳の基礎(費用として処理する方法)

事務所や店舗の雑貨や事務用品など、短期的に消費される物品を消耗品といいます。実務上は税法の規定に基づき、購入価格が10万円未満の物品または耐用年数が1年未満のもの購入した時に消耗品として取り扱うことになります。

消耗品の会計処理は、その使用した期間において費用処理することになりますが、消耗品の仕訳方法には、消耗品の購入時にいったん『消耗品』勘定という資産勘定を使って記帳する方法と、『消耗品費』勘定という費用勘定を使って記帳する方法とがあります。

上記の2つの方法のうち、このページでは消耗品の購入時に『消耗品費』勘定という費用勘定を使って記帳する方法について解説します(いったん資産として計上する方法については消耗品の仕訳の基礎(資産として計上する方法)をご参照ください)。

1.購入時の仕訳

消耗品を購入した時に費用処理する方法では、その購入時において『消耗品費』勘定という費用勘定を使って購入額を記帳します。
例えば、ノート10冊を現金1,000円(1冊あたり100円)で購入した時の仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 1,000 現金 1,000

2.決算時の仕訳

消耗品は使用した期間の費用として処理することになります。購入時に『消耗品費』勘定を使って処理するこの方法では、購入した消耗品のすべてを『消耗品費』という費用勘定に計上しています。したがって期末に未使用の消耗品が残っている場合はその未使用分を『消耗品費』勘定から『消耗品』勘定という資産勘定に振替え、資産として翌期に繰り越すことになります。

例えば上記ノート10冊について、決算時に未使用分を数えたところ、3冊(300円分)のノートが未使用として残っていた場合、この3冊(300円分)は当期の費用ではなく翌期以降の費用となりますので、下記の仕訳により『消耗品費』という費用勘定から『消耗品』という資産勘定へ振り替える処理をおこないます。

借方 金額 貸方 金額
消耗品 300 消耗品費 300

この仕訳により、当期の使用分が損益計算書に『消耗品費』として費用計上され、未使用の在庫分が貸借対照表に『消耗品』として資産計上されます。
なお未使用分は翌期に使用され翌期の費用となりますので、未使用分について、翌期の期首などに以下の仕訳を行い、再び『消耗品』勘定から『消耗品費』勘定へ振り替えます

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 300 消耗品 300

3.実務上の注意点

上記の例では期末に未使用の消耗品を数え、これを『消耗品費』勘定から『消耗品』勘定へと振替えを行っていますが、税法上では、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費する消耗品を購入した場合において、購入価格を継続して費用処理している場合には期末に資産計上する必要はなく、全額その事業年度の費用(損金)にしてもよいことになっており(法人税法基本通達2-2-15)、実務的には、未使用分についても上記の『消耗品』勘定という資産勘定への振替は行わず、購入時の属する事業年度にそのまま全額を費用として処理することが一般的です。

また『消耗品』勘定は『貯蔵品』勘定を使用する場合もあります。

演習問題:消耗品(費用法)の仕訳

1.事務所で使用する筆記用具などの事務用品10,000円分を購入し、代金は現金で支払った。なお当社は消耗品を購入した時はいったん費用として計上することとしている。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 10,000 現金 10,000

2.上記の筆記用具について、決算時に未使用分を数えたところ、2,000円分が未使用として残っていた。

借方 金額 貸方 金額
消耗品 2,000 消耗品費 2,000

購入した10,000円分の筆記用具のうち、2,000円分が決算時に在庫として残っていたことになりますので、これを『消耗品費』という費用勘定から、『消耗品』という資産勘定へ振り替え、未使用分を資産として翌期に繰り越すことになります。

なおこの場合、翌期の期首などにおいて資産として計上された未使用分を『消耗品』勘定から『消耗品費』勘定へと再振替することが必要です(未使用分は翌期の費用となるため)。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 2,000 消耗品 2,000
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