資本的支出と収益的支出の仕訳の基礎

機械や建物などの固定資産は購入時だけではなく、購入後にもその維持管理や保全・修理などのために様々なお金がかかる場合があります。
簿記上は機械や建物・構築物などの固定資産の取得後に発生する支出は次の2つのもの区分されることになります。

1.固定資産に新たな機能を追加したり、あるいは部品や外装の交換などにより価値や耐久性を向上させるための支出。

2.固定資産の現状を維持するためのメンテナンス費用や消耗品の交換費用、あるいは破損した固定資産をもとの状態に戻すための修理費用。

上記1の支出は固定資産にあらたな価値を付加するための支出であり、こららの支出は資本的支出といい、その支出額は『機械』や『建物』『構築物』など固定資産勘定で処理し、当該固定資産の取得原価に加算します。

いっぽう、上記2の支出は固定資産の現状維持・現状回復のための支出といえます。これらの支出は収益的支出といい、その支出額については『修繕費』などの勘定科目を使って処理し、全額を支出時などの費用として処理します。

演習問題:資本的支出と収益的支出

本年度において本社建物の改修工事を行った。この改修工事に掛かった金額は10,000円であり、代金は現金で支払った。なお、この改修工事10,000円のうち、2,000円分は原状の維持あるいは破損部分の回復のための費用(収益的支出)であり、のこりの8,000円分は避難階段の設置などに掛かった支出(資本的支出)であった。
改修工事に関する仕訳を示しなさい。

借方 金額 貸方 金額
修繕費 2,000 現金 10,000
建物 8,000

改装工事の支出額10,000円のうち、2,000円分は原状維持や破損部分の補修などの収益的支出となりますので、2,000円については『修繕費』勘定を使って記帳し、当期の費用として処理します。
いっぽう、残りの8,000円分については避難階段の設置など新たな価値を付加するための支出(資本的支出)となりますので、8,000円については『建物』勘定で処理し、本社建物の取得原価に加算します。

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