市場販売目的および自社で利用する目的で取得したソフトウェアを資産として計上する場合には『ソフトウェア』など無形固定資産の勘定科目を使って仕訳・記帳しますが、制作途中のソフトウェアの制作費については、制作が完了し当該ソフトウェアを事業供用されるまで『ソフトウェア仮勘定』という無形固定資産の仮勘定として計上します(研究開発費等に係る会計基準注解 注4参照)。
例えば、ソフトウェアの制作のため現金1,000円を支払った場合、このソフトウェアの制作が完了するまではソフトウェア仮勘定を使って以下のように記帳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア仮勘定 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
その後、当該ソフトウェアの制作が完了して事業供用が開始されると、『ソフトウェア仮勘定』に計上していた制作費を『ソフトウェア』勘定へと振り替えます。
上記の『ソフトウェア仮勘定』1,000円を『ソフトウェア』勘定へと振り替える場合の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | 1,000 | ソフトウェア仮勘定 | 1,000 |
ソフトウェア仮勘定は、制作途中のソフトウェアに要した費用を一時的に集計するために設けられる仮勘定であり、事業の用に供される資産ではありませんのでソフトウェア仮勘定について減価償却費を計上する必要はありません。
では、演習問題を使って再度確認します。
演習問題:自社利用のソフトウェアの取得と償却
1.市場販売目的のソフトウェアである製品マスターの制作費として300,000円を支払った。当該ソフトウェアの制作費は制作が完了するまでソフトウェアの仮勘定で計上し、制作完了後にこれを本勘定へと振り替えるものとする。制作費を支出した時の仕訳を示しなさい。なお当該ソフトウェアの制作費には研究開発費に該当する部分はない
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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ソフトウェア仮勘定 | 300,000 | 現金 | 300,000 |
2.決算を迎えた、なお上記のソフトウェアについてはいまだ制作途中である。当社は『ソフトウェア』を5年で償却することとしている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕訳なし |
※『ソフトウェア仮勘定』は減価償却を行う必要はありません。
3.当該ソフトウェアの制作費が完了し、本勘定へ振り替えたときの仕訳を示しなさい。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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ソフトウェア | 300,000 | ソフトウェア仮勘定 | 500,000 |
(関連ページ)
自社で利用するソフトウェアに関する仕訳・記帳