新株予約権(しんかぶよやくけん)を発行した時の仕訳・記帳

株式会社に対して行使することにより、あらかじめ定められた価額でその株式会社の株式の交付を受けることができる権利を新株予約権といいます(会社法第2条第21号参照)。

新株予約権の保有者は、権利を行使することによりあらかじめ定められた価額で株式の交付を受けることができますので、たとえその株式の市場価額が10,000円まで値上がりしていたとしても、新株予約権の権利行使価格(この値段で買いますよとあらかじめ定められた価額)が1,000円であれば、株式の発行会社は新株予約権の権利行使をしたものに1,000円で自社の株式を発行しなければならないことになります。

新株予約権はストックオプション(従業員や役員に新株予約権を与えることにより、従業員などに自社の株価の上昇に対するインセンティブ効果を期待する手段)などとしても広く利用されています。

新株予約権を発行した時の会社側の仕訳は、新株予約権発行時に受け取った払込金額を『新株予約権』という純資産の勘定を使って記帳することになります。
たとえば、新株予約権を発行し、その払込金額として1,000円の現金を受け取った時は次のように記帳します。

借方 金額 貸方 金額
現金 1,000 新株予約権 1,000

『新株予約権』は純資産の勘定科目となりますので、その増加額は貸方(向かって左)に記帳することになります。
では、もう少し具体的に新株予約権発行時の仕訳を以下の演習問題を使ってご確認ください。

演習問題:新株予約権の発行

当社は以下の条件で新株予約権を発行した。当社の新株予約権発行時の仕訳を示しなさい。

1.新株予約権の発行数100個
2.新株予約権発行時の払い込み金額は新株予約権1個につき500円(受け取った代金は当座預金へ振り込んだ)

(解答)
新株予約権発行時に受ける払込金額は下記の計算のとおり
新株予約権の発行数100個×1個当たりの払込金額@500円=50,000円

借方 金額 貸方 金額
当座預金 50,000 新株予約権 50,000

会社は新株予約権を100個発行しており、新株発行時に受け取る払込金額を新株予約権1個当たり500円(合計50,000円)として代金を受け取っています。
したがって、新株予約権発行時に受け取った払込金額50,000円を『新株予約権』という純資産の勘定科目を使って貸方に記帳します。
純資産の勘定科目の増加は貸方に記帳しますので、貸方に「新株予約権 50,000円」と記帳します。

(関連ページ)
新株予約権の権利行使時の仕訳・記帳(会社側の処理)
新株予約権を取得した時の仕訳の基礎(取得者側の処理)

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