新株予約権の権利行使時の仕訳・記帳(会社側の処理)

自社が発行した新株予約権が、その保有者によって行使された場合には、会社は権利を行使したものに対し新株予約権と引き換えに自社の株式を発行しなけれなればなりません(新株を発行するほか、自己株式を移転することもできます)。

新株予約権を行使された会社側の会計処理は、行使された新株予約権の帳簿価額と払込金額との合計を新たに発行しする株式の払込金額として処理することになります。

会社は新株予約権を発行した際に、その払込金額を『新株予約権』という純資産の勘定科目の貸方で処理しています。したがって、新株予約権が行使された際には行使された新株予約権の帳簿価額と、権利行使時の払込金額との合計を各勘定科目の借方から資本金勘定などの借方へと振り替えます

1.新株予約権発行時
借方 金額 貸方 金額
現金預金 新株予約権
2.新株予約権行使時
借方 金額 貸方 金額
新株予約権 資本金
現金預金

では、もう少し具体的に新株予約権発行時の仕訳を以下の演習問題を使ってご確認ください。

演習問題:新株予約権の発行

当社が以下の条件で発行した新株予約権のうち、その半分にあたる50個の権利が行使された。新株予約権の権利が行使された時の仕訳を示しなさい(なお、払込金額はすべて当座預金とし、またその全額を資本金とした)。

1.新株予約権の発行数100個
2.新株予約権発行時の払い込み金額は新株予約権1個につき500円
3.新株予約権の権利行使時の払い込み金額は新株予約権1個当たり4,500円

(解答)
権利行使された新株予約権の発行価額(帳簿価額)と権利行使時に新たに払い込まれる金額の計算は以下のとおり

・権利行使された新株予約権の発行価額:1個当たりの払込金額@500円×50個=25,000円
・新株予約権の権利行使時の払込金額:権利行使時の1個あたりの払込金額@4,500円×権利行使数50個=225,000円

・新株の発行価額:新株予約権の帳簿価額25,000円+権利行使時の払い込み金額225,000円=250,000円

借方 金額 貸方 金額
新株予約権 25,000 資本金 250,000
当座預金 225,000

新株予約権を行使された数は50個であり、権利行使時の1株当たりの払込金額が4,500円となっていますので、新たに払い込まれる金額が225,000円となります(当座預金勘定の借方で処理)。同時に行使された新株予約権の帳簿価額25,000円を借方に記帳し、その残高を減少させる必要があります。

行使時の払込金額と新株予約権の帳簿価額の合計250,000円が資本金が増加します。

なお、仮に増加させる資本金が会社法の定める最低金額(増加資本の1/2)を資本金にすると指示がある場合には以下のように仕訳を行います(資本金組み入れ額の扱いは株式会社を設立した時の仕訳(資本準備金計上・容認処理)を合わせてご参照ください)。

借方 金額 貸方 金額
新株予約権 25,000 資本金 125,000
現金預金 225,000 資本準備金 125,000

(関連ページ)
新株予約権(しんかぶよやくけん)を発行した時の仕訳・記帳
保有する新株予約権を権利行使した時の仕訳・記帳
新株予約権失効時の会社側の記帳(新株予約権戻入益)

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