新株予約権行使時に自己株式を移転した時の仕訳・記帳

自社が発行した新株予約権が、その保有者によって権利行使された場合には、会社はその権利を行使したものに対し新株予約権と引き換えに自社の株式を交付しなけれなればなりません。このとき自社の株式を交付する方法には新株の発行する方法のほか、すでに保有している自己株式を移転する(引き渡す)方法もあります。
新株予約権の権利行使者に対し、自社の保有する自己株式を移転した場合の会社側の会計処理については以下の手順で行います。

新株予約権の行使にたいし、自己株式を移転した場合の仕訳

1.まず移転する自己株式の帳簿価額を貸方に記帳し、自己株式を減少させます。仮に移転する自己株式の帳簿価額が1,000円の場合、貸方に以下のように記帳します。

借方 金額 貸方 金額
自己株式 1,000

2.行使された新株予約権の帳簿価額と払込金額とをそれぞれ借方に記帳します。仮に行使された新株予約権の帳簿価額が200円、権利行使に際し払い込まれた金額が900円(当座預金として処理する)の場合は借方に以下のように記帳します。

借方 金額 貸方 金額
新株予約権 200 自己株式 1,000
当座預金 900

3.上記の仕訳では、借方に行使された新株予約権の帳簿価額200円と権利行使時の払込金額900円が計上され、いっぽう貸方には移転した自己株式の帳簿価額1,000円が計上されており、借方と貸方とで100円の差額が生じています。
この差額は自己株式処分差益または自己株式処分差損として処理します。
上記の設例では、帳簿価額1,000円の自己株式を移転した見返りとして、1,100円分の資産を得ているものと考えて、差額の100円を自己株式処分差益として処理します。

借方 金額 貸方 金額
新株予約権 200 自己株式 1,000
当座預金 900 自己株式処分差益 200

仮に移転した自己株式の帳簿価額が、新株予約権の帳簿価額と払込金額の合計を上回る場合には、当該差額は自己株式処分差損として処理することになります。

借方 金額 貸方 金額
新株予約権 200 自己株式 1,000
当座預金 700
自己株式処分差損 100

(関連ページ)
新株予約権(しんかぶよやくけん)を発行した時の仕訳・記帳
保有する新株予約権を権利行使した時の仕訳・記帳

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