減損処理後の減価償却費の計算(減損の翌年の仕訳)

減損処理を行い、減損損失を計上した固定資産の翌年以降の処理については以下の点に注意が必要となります(固定資産の減損に係る会計基準 「三.減損処理後の会計処理」 参照)。

1.減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。

2.減損損失の戻入れは、行わない。

減損処理を行った資産についても、減損処理後の帳簿価額をその後の事業年度にわたって適正に原価配分するため、毎期計画的、規則的に減価償却を行います。

なお、減損会計では減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を計上していることなどから、減損損失の戻入れは行わないことになっています(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書 「減損処理後の会計処理」参照)。

演習問題:減損処理後の減価償却

R1年1月1日に取得した機械(取得価額1,000,000円)について耐用年数を5年、残存価額10%の定額法で減価償却を行っていたが、R2年12月31日において減損処理を行い、減損損失を計上した。減損処理後の帳簿価額は250,000円であった場合、R3年12月31日決算日において当該機械について必要な減価償却費の計上にかかる仕訳を示しなさい(減価償却費の記帳は直接法によるものとし、また減損処理後においても耐用年数・残存価額については当初のままで計算する)。

(解答・解説)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000 機械装置 50,000

減損処理後の帳簿価額は250,000円であり、これを当初の耐用年数や残存価額を変更しないままで減価償却を行います。
当初の耐用年数が5年ですが、減損処理の時点ですでに2年経過しておりますので、減損処理後の耐用年数の残存期間は3年となります。
減損処理後の翌年以降の減価償却費は以下のように算定します。

(減損後の帳簿価額250,000円-残存価額100,000円)÷減損処理後の残存耐用3年=50,000円

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