たとえば毎年1回、6月1日にボーナス(賞与)を支払う会社があったとします。今年の支給予定額は120万円です。さらにこの会社の決算日は毎年3月31日であったとします。この時、ボーナスをいつの費用とするべきかについて考えます。
まず6月1日にボーナスを支払うのであれば当然にボーナスの実際の支払日である6月1日に120万円全額を費用として処理するという考え方もあると思います。
しかし年1回の6月1日のボーナスは去年の6月から今年の5月までの1年間頑張って働いてくれたことへのご褒美と考えた場合、去年の6月から今年の3月の決算日までの10か月分については、たとえ実際の支払い日の前であったとしても、決算日の属する当期の負担すべき費用であると考えることもできます(実際の支払いはまだでも既に発生したと考えられる経費は計上すべきという発生主義の考えです)。
このような考えにおいて、決算日に当期にすでに発生した部分を当期の費用として計上するために使用する費用の勘定科目が『貸倒引当金繰入』です。
以下、上記の3月決算の会社の例を基に賞与引当金繰入を計上する場合の仕訳を考えていきます。
事例:賞与引当金の会計処理
上記の設例では6月1日に支払われるボーナスは前年の6月から5月までの1年間(12か月間)働いてくれたことに対する対価といえます。
決算日は3月31日の時点では前年6月から3月末日の決算日までで10か月が経過しておりますので10か月分は決算日までにすでに発生していると考えることができます。
10か月分の金額の計算は月割りで以下のように算定できます。
決算日までにすでに発生している金額:120万円÷12か月×10か月=100万円
決算日までにすでに発生している金額を費用として処理する場合には『賞与引当金繰入』という費用の勘定科目を使用しますので、決算日までに発生している100万円の費用計上に関する仕訳の借方は以下のように記帳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賞与引当金繰入 | 1,000,000 |
いっぽう賞与引当金繰入を計上した際の相手科目には『賞与引当金』という勘定科目を使用します。従って上記仕訳の貸方の空白蘭には以下のような勘定科目を使って記帳することとなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賞与引当金繰入 | 1,000,000 | 賞与引当金 | 1,000,000 |
なお、翌期6月1日において、実際に120万円のボーナスを支給した際には前期に計上した『賞与引当金』100万円を取り崩し、残りを『賞与』などの費用を表す勘定科目を使って記帳し、支払時の費用として処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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賞与引当金 | 1,000,000 | 現金預金 | 1,200,000 |
賞与 | 200,000 | - | - |