サービス業の費用(役務原価)の仕訳・記帳

ここではサービス業を営む事業者がサービス提供のために費用を支払った時の仕訳についてご説明しております。

サービス業では通常は商品の仕入などはありませんが、サービスを提供するために費用が発生することはあります。
たとえば旅行代理店(サービス業)がツアー旅行に必要なバス代金や添乗員への報酬を支払った場合など、ツアー旅行というサービスを提供するために費用がかかることはあります。
サービスの提供と費用の支払いがほぼ同時に行われる場合、これらの費用は『役務原価』という費用を表す勘定科目を使って記帳します。

たとえば、旅行代理店がツアー旅行の実施に際し、バス会社へバス代金100,000円を普通預金口座から振り込んだ場合の記帳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
役務原価 100,000 普通預金 100,000

費用の支払いと収益の計上時期にタイムラグがある場合

役務費用が発生したときの仕訳については、上記旅行代理店のケースのように役務収益の発生とほぼ同時である場合には、発生した費用を『役務原価』勘定にそのまま計上しても問題はないのですが、費用の発生時と役務収益が発生する時との間にタイムラグがある場合には、発生した費用についてはいったん『仕掛品』勘定を使って資産として処理し、役務提供の完了時に『仕掛品』勘定から『役務原価』勘定という費用勘定に振り替えて処理することが適切となります。

たとえば、建物の設計を行っている設計事務所において顧客から依頼のあった案件について建物の設計を行ったが、設計図が完成する前に設計のために直接必要な出張旅費50,000円が発生し、これを現金で支払った際の仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 50,000 現金 50,000

上記の『仕掛品』に計上した金額については、設計図が完成し収益(売上)を計上する際にいっしょに『仕掛品』から『役務原価』という費用の勘定へと振り替えを行います。

上記の案件について、設計図が完成し、これを顧客に提出し、顧客から対価として普通預金口座ヘ300,000円の振込があった際の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 300,000 役務収益 300,000
役務原価 50,000 仕掛品 50,000

役務収益を計上すると同時に、これに対応する原価(この収益を獲得するためにかかった原価)である出張旅費50,000円を『仕掛品』から『役務原価』へと振り替えます。

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