固定資産を買い替えた時の仕訳の基礎

会社がこれまで使用していた固定資産を売却し(下取りに出し)、そのお金で新しい固定資産を買うことを固定資産の買換えといいます。
固定資産の買換えは、古い資産の売却新しい資産の購入という2つの取引を同時に行うことにほかなりませんので、2つの取引に分けて処理することになります。

固定資産の買換時の会計処理

1.古い資産の売却の処理

たとえば3月決算の会社が、期中の9月30日において、今まで使用していた車両Aを100,000円で下取りに出し、不足分150,000円を現金で支払う形で車両B(250,000円)を購入した場合の仕訳を考えてみましょう。
なお、旧資産である車両Aの取得原価や減価償却の状況については以下の通りとします。

車両A:取得価額:300,000円(当期期首の減価償却累計額残高は150,000円、なお当該車両の減価償却方法は定額法であり、耐用年数10年(償却率0.100)として算定すること)。

古い資産である車両Aの売却時の仕訳は、期首から売却時までの減価償却費を計上すると同時に、下取り価格(売却価格)と売却時点における車両の簿価との差額を車両売却損益として処理します。

(計算過程-車両Aの当期の減価償却費と売却損益)
期首から売却時までの期間:4月1日(期首)から9月30日(売却日)→6か月
期首から売却時までの減価償却費:取得原価300,000円×償却率0.100×6か月/12か月=15,000円
売却損益:下取価格100,000円-(取得原価300,000円-減価償却累計額150,000円-当期償却額15,000円)=△35,000円(下取価格の方が少ないので車両売却損となります)。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 150,000 車両運搬具 300,000
減価償却費 15,000
現金 100,000
車両売却損 35,000
2.新しい資産の購入の処理

上記の車両Aの売却と同時に、新しい資産(車両B)の購入を行います。購入した車両は取得原価で資産計上します。

借方 金額 貸方 金額
車両運搬具 250,000 現金 250,000
3.買換えの仕訳(合算する場合)

買換えは古い資産(車両A)の売却と新しい資産(車両B)の購入を同時に行うことです。上記のままでも構いませんが、仕訳問題などで上記の2つの仕訳を1つにまとめる場合は、単純にこれらを合算すればよいことになります。なお上記1と上記2には借方と貸方に同じ科目『現金』がありますので、これを相殺することに注意が必要です(買換仕訳をストレートに問うような問題でなければとくに相殺も必要ありません)。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 150,000 車両運搬具
(古い車両A)
300,000
減価償却費 15,000 現金 150,000
車両運搬具
(新しい車両B)
250,000
車両売却損 35,000

上記1の「借方 現金100,000円」と上記2の「貸方 現金250,000円」とを相殺し、差額の「貸方 現金150,000円(現金を150,000円支払った仕訳)」が計上されています。

(関連ページ)
固定資産(こていしさん)の取得時の仕訳・記帳
有形固定資産を売却した(売った)時の仕訳・記帳

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