有形固定資産を売却した(売った)時の仕訳・記帳

建物や機械装置・備品などの有形固定資産を売却した(売った)時は、有形固定資産が減少しますので、売却した有形固定資産の帳簿価額を減額します。
なお、有形固定資産の減価償却費の記帳方法には直接法と間接法とがありまますが、減額する固定資産の帳簿価額は、直接法と間接法とで以下のように異なります。

直接法 直接法では、減価償却費を固定資産勘定から直接減額していますので、売却時点における固定資産勘定の借方残高をそのまま減額します。

直接法の帳簿価額=固定資産勘定の借方残高

間接法 間接法では、減価償却費を固定資産勘定から直接減額するのではなく、減価償却累計額勘定を使って間接的に減額していますので、固定資産勘定の借方残高と減価償却累計額勘定の貸方残高をともに減少させることになります。

間接法の帳簿価額=固定資産勘定の借方残高-減価償却累計額勘定の貸方残高

また、固定資産を売却した時の売却収入と上記の固定資産の帳簿価額(売却した期の減価償却費も減額する必要があります)との差額については『固定資産売却損益』(営業外収益・営業外費用)として売却時の損益として処理します。

演習問題:有形固定資産を売ったとき

1.直接法の場合

×1年3月31日に機械装置(取得価額1,000,000円、前期までに計上した減価償却費の累計額600,000円、当期の減価償却費100,000円)を280,000円で売却し、代金は現金で受け取った。売却時の仕訳を示しなさい。なお当社では有形固定資産の減価償却費の記帳方法として直接法を採用している。

(計算過程)
有形固定資産の売却損益は、売却収入から帳簿価額(直接法の場合は固定資産勘定の借方残高)および売却した事業年度分の減価償却費計上額とを差し引いた差額として算定されますので、以下の算式によって算定します。

売却損益=売却収入280,000円-帳簿価額(1,000,000円-600,000円)-減価償却費100,000円=△20,000円(売却損)

借方 金額 貸方 金額
現金 280,000 機械 400,000
減価償却費 100,000
固定資産売却損 20,000

減価償却費の記帳は直接法によっていますので、売却する固定資産の帳簿価額(売却事業年度の減価償却費計上前)は固定資産勘定の借方残高(本問では400,000円)と一致します。これからさらに当期の減価償却費100,000円を差し引いた300,000円と売却収入280,000円と差額を売却損益として計上します。

2.間接法の場合

×1年3月31日に機械装置(取得価額1,000,000円、前期までに計上した減価償却費の累計額600,000円、当期の減価償却費100,000円)を280,000円で売却し、代金は現金で受け取った。売却時の仕訳を示しなさい。なお当社では有形固定資産の減価償却費の記帳方法として間接法を採用している。

(計算過程)
有形固定資産の売却損益は、売却収入から帳簿価額(間接法の場合は固定資産勘定の借方残高と減価償却累計額勘定との差額)および売却した事業年度分の減価償却費計上額とを差し引いた差額として算定されますので、以下の算式によって算定します。

売却損益=売却収入280,000円-帳簿価額(1,000,000円-600,000円)-減価償却費100,000円=△20,000円(売却損)

借方 金額 貸方 金額
現金 280,000 機械 1,000,000
減価償却累計額 600,000
減価償却費 100,000
固定資産売却損 20,000

減価償却費の記帳は間接法によっていますので、売却する固定資産の帳簿価額(当期分の減価償却時計上前)は固定資産勘定の借方残高(本問では1,000,000円)と減価償却累計額勘定の貸方残高(本問では600,000円)との差額と一致します。これからさらに当期の減価償却費を100,000円を差し引いた300,000円と売却収入280,000円との差額を売却損益として計上します。

(関連ページ)
有形固定資産を売却した時(期中売却・月割計算)の仕訳
固定資産を買い替えた時の仕訳の基礎

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