建設・完成前の固定資産に支出した金額(建設仮勘定)の仕訳

固定資産を購入した時は、その購入のために支出した金額を『備品』や『機械装置』『車両運搬具』などの各固定資産勘定を使って記帳し、減価償却資産としてその使用期間を通して費用化することになります。

(固定資産取得時の仕訳-通常の場合)
借方 金額 貸方 金額
備品 現金預金

しかし固定資産の中には、大型機械や建物・工場・倉庫・構築物などは購入契約から完成・引渡・事業供用まで相当の期間が必要となるようなものもあります。
建物や構築物などはその建設のための期間が事業年度をまたいでしまうことも珍しくはありません。

このように、固定資産を実際に事業供用するまでの期間が長期に及ぶような場合、その取得のための支出した金額は、すぐに『建物』や『構築物』などの固定資産勘定(本勘定)に計上するのではなく、いったんこれを『建設仮勘定』という一時的な仮の勘定を使って資産計上し、当該建物や機械・構築物などが完成し、実際に事業で供用された段階で『建設仮勘定』という仮の勘定科目から『建物』や『機械装置』『構築物』などの固定資産勘定(本勘定)に振り替えて処理することになります。

(固定資産取得時の仕訳-建設中の本社ビルに支出した金額)
借方 金額 貸方 金額
建設仮勘定 現金預金
(固定資産取得時の仕訳-上記の本社ビルが完成した時)
借方 金額 貸方 金額
建物 建設仮勘定

なお、『建設仮勘定』は事業供用前の建設中の資産に掛かった支出金を一時的にプールしておくための仮の勘定ですので、減価償却の対象とはなりません。『建設仮勘定』に集計された支出額は、建物などが完成し、『建設仮勘定』から『建物』勘定へ振り替えられて初めて減価償却資産として減価償却の対象となります。

演習問題:建設仮勘定の仕訳の基礎

1.当社ではこの度、新工場を建設することとなった。新工場の建築金額は1,000,000円であり、完成は来年度となる予定である。新工場建設に先だち、建築業者に手付金100,000円を小切手を振り出して支払った。

(仕訳-建設時に支出した金額)
借方 金額 貸方 金額
建築仮勘定 100,000 当座預金 100,000

2.上記の新工場が完成した。新工場は完成と同時に稼働を開始した。なお新工場の建築金額1,000,000円から、建築前に手付金として支払った100,000円を差し引いた残額900,000円を小切手を振出して支払った。

(仕訳-新工場が完成した時)
借方 金額 貸方 金額
建物 1,000,000 建設仮勘定 100,000
当座預金 900,000

建物(新工場)が完成し、稼働開始した段階において『建設仮勘定』にプールされていた金額を『建物』勘定へ振り替えます。

(関連ページ)
固定資産(こていしさん)の取得時の仕訳・記帳

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