ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います(売買処理)。
売買処理では、借手は固定資産を購入した場合と同様に、受取ったリース物件を固定資産として資産計上し、決算時などにおいては毎期一定の方法で減価償却計算を行うことになります(リース取引に関する会計基準第9・12項参照)。
借手の行ったリース取引が所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定された場合の減価償却費の算定は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定することになります(リース取引に関する会計基準第2項参照、リース取引に関する会計基準の適用指針第27項参照)。
減価償却費=リース資産の取得原価÷リース期間 |
リース期間終了後の再リース期間をファイナンス・リース取引の判定においてリース期間に含めている場合は、再リース期間も上記の耐用年数に含めることになります。
また残存価額については、リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、原則として、当該残価保証額を残存価額として処理することになります(リース取引に関する会計基準の適用指針第27項参照)。
リース資産の減価償却方法は、定額法・級数法・生産高比例法などの中から企業の実態に応じたものを選択適用することになりますが、この場合、必ずしも自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定する必要はないことになっています(リース取引に関する会計基準の適用指針第28項参照)。
演習問題:所有権移転外ファイナンス・リース取引の減価償却費の算定(借手側)
当社がAリース会社より×1年4月1日より機械のリースを受ける契約を締結した。当該リース取引の条件は以下の通りである。×2年3月31日(決算日)における減価償却費計上に関する仕訳を示しなさい。
(リース取引の条件) 1.当該リース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引である。 2.リース期間:4年 3.リース開始時における当社(借手)のリース資産計上額は300,000円である。 4.減価償却方法は定額法によるものとする。 |
(解答)
当該リース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当しますので、減価償却費の算定はリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定として算定することになります。リース資産の当初計上額は300,000円、リース期間は4年であり、これを定額法によって処理することになりますので、毎年の減価償却費の算定は以下のようになります。
リース資産の減価償却費:取得原価300,000円÷4年×12月/12月=75,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 75,000 | 減価償却累計額 | 75,000 |
(関連ページ)
所有権移転外ファインナンスリース取引開始時の仕訳(借手側)
所有権移転ファインナンスリース取引の減価償却費の計算と仕訳