ファイナンス・リース取引の分類(所有権移転と所有権移転外)

ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(所有権移転ファイナンス・リース取引)と、それ以外の取引(所有権移転外ファイナンス・リース取引)とに分類されます(リース取引に関する会計基準第8項参照)。

上記の通り、リース基準においてはファイナンス・リース取引のうち、所有権移転ファイナンス・リース取引を積極的に定義し、これにあてはまらないものは所有権移転外ファイナンス・リース取引とするとの立場をとっているため、ファイナンス・リース取引の分類においては所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するか否かが重要となります。
所有権移転ファインナンス・リース取引に該当するか否かの判定は、次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するものとし、それ以外は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するものとされます(リース取引に関する会計基準の適用指針第10項参照)。

(所有権移転ファイナンス・リース取引の要件)
(1) リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているリース取引(所有権移転条項

(2) リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途で、名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利が与えられており、その行使が確実に予想されるリース取引(割安購入選択権

(3) リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作又は建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリース又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引 (特別の仕様

ファイナンス・リース取引と判定されたリース取引は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います(借手は通常の固定資産の購入時と同様にリース資産を固定資産として資産計上し、減価償却計算を通して一定の期間にわたってその取得原価を費用処理します。リース取引に関する会計基準第9項参照)。

所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します(法定耐用年数などを使用し、自己の資産と同様に減価償却費を算定します)。
いっぽう所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定すことになります(リース取引に関する会計基準第12項等参照)。

(関連ページ)
会計上のリース取引とは

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加