ファインナンスリース取引のリース料支払時(利息配分-定額法)

リース取引がファイナンス・リース取引と判定された場合は借り手は、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として計上します(リース取引に関する会計基準第10項参照、詳細は所有権移転外ファインナンスリース取引開始時の仕訳(借手側)をご参照ください)。

リース開始時に計上されたリース債務については、借り手がリース料を支払うごとに減額されていくことになりますが、リース料の中にはリース債務の元本返済部分のほかにリース期間において発生する支払利息部分が含まれていますので、支払ったリース料のうち、元本の返済部分に対応する金額については『リース債務』の減少、支払利息部分に該当する金額については『支払利息』を使って費用計上することになります。

(リース料を支払った時の処理)
借方 金額 貸方 金額
リース債務 現預金など
支払利息

支払ったリース料を、リース債務の減少部分と支払利息の計上部分とに分ける方法(利息相当額の配分方法)については、利息法と定額法とがありますが、原則として利息法によりますが、所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合でリース資産総額に重要性が乏しいと認められるなどの場合には、利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法として定額法を採用することができます。定額法では利息相当額がリース期間を通して一定となるようにこれを配分しますので、毎期の利息計上額は以下のように算定します。

毎期の支払利息計上額=(リース料総額-リース債務計上額)÷リース期間

なお、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過リース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合をいいます(この場合、リース料総額でリース資産・リース債務を計上し、支払リース料の全額をリース債務の元本返済部分として認識する方法を採用することもできます。リース取引に関する会計基準の適用指針第31・32項をご参照ください)。

演習問題:所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース料支払時(定額法)

当社がAリース会社より×1年4月1日より機械のリースを受ける契約を締結した。当該リース取引の条件は以下の通りである。リース料支払時の仕訳を示しなさい。

(リース取引の条件)
1.当該リース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引である。
2.リース期間:4年
3.リース開始時における借手のリース資産およびリース債務の計上額は300,000円である
4.リース料:毎年3月31日に80,000円を当座預金より支払う(リース料総額は320,000円)
5.支払リース料に含まれる利息相当額の各期への配分は定額法による。
6.当社の決算日は毎年3月31日である。

(解答)
リース料の支払額にはリース債務の元本の返済金額部分と利息相当額と分割されます。利息相当額の各期への配分は定額法(毎期一定)となりますので、各期に配分される利息相当額は以下のようにして算定します。

支払利息の毎期の配分額:(リース料総額320,000円-当初のリース債務計上額300,000円)÷リース期間4年=5,000円
支払リース料のうちの元本返済額部分:支払リース料80,000円-利息部分5,000円=75,000円

借方 金額 貸方 金額
リース債務 75,000 当座預金 80,000
支払利息 5,000

(関連ページ)
所有権移転外ファインナンスリース取引開始時の仕訳(借手側)
所有権移転外ファインナンスリース取引の減価償却費の算定
所有権移転ファインナンスリース取引の減価償却費の計算と仕訳

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加