減損損失の認識の基礎(減損会計)

資産または資産グループについて、減損の兆候があると把握されたものについては、次の段階として減損損失の認識の判定を行います。

減損の兆候があると判断された資産又は資産グループについては減損損失を認識するかどうかの判定を行います。
この減損損失を認識の判定方法は、減損の兆候があると判断された資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を当該資産または資産グループの帳簿価額と比べて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額より低かった場合には、減損損失を認識すると判断することになります(逆に、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額より高かった場合には、減損損失を認識しないと判断し、以降の手続きには進みません)。

割引前将来キャッシュフローが帳簿価額より低い場合のみ減損損失を認識する

(固定資産の減損に係る会計基準二2(1)参照)。

なお、割引前将来キャッシュ・フローをどのくらいの期間にわたって見積もる必要があるかについては、資産の経済的残存使用年数又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方となります。
資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合には、20年経過時点の回収可能価額を算定し、20年目までの割引前将来キャッシュ・フローに加算して算定します(固定資産の減損に係る会計基準二2(2) 同会計基準注解 注3・注4参照)。

演習問題:減損損失の認識について

以下の機械装置Aについて、減損損失を認識すべきかどうか判定しなさい

(機械装置Aについて)
取得原価 減価償却累計額 経済的残存使用年数 将来CF(1年ごと) 5年後の残存価額
3,000,000円 1,200,000円 5年 300,000円 100,000円

(解答・考え方)

帳簿価額:取得原価3,000,000円-減価償却累計額1,200,000円=1,800,000円
割引前将来CF:毎年のCF300,000円×耐用年数5年+残存価額100,000円=1,600,000円

帳簿価額1,800,000円>割引前将来CF1,600,000円

したがって、割引前キャッシュフローが帳簿価額を下回っているため、減損損失を認識する。

減損損失を認識するかどうかの判定の際は、当該資産または資産グループの帳簿価額と割引前将来キャッシュフローとを比較することによりおこないます。
帳簿価額は取得価額から減価償却累計額を控除することにより、判定時点の帳簿価額を算定します。
一方で将来キャッシュフローの算定は、耐用年数にわたって発生する毎年のキャッシュフローの合計に耐用年数経過後の残存価額を加算することにより算定します。

上記の設例では、割引前将来キャッシュフローの合計が帳簿価額を下回っているため、減損損失を認識すると判定することになります。

(関連ページ)
減損会計の基礎(減損会計の定義とステップ)

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