回収可能価額の基礎(正味売却価額と使用価値)

1.回収可能価額とは

回収可能価額とは、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額をいいます(固定資産の減損に係る会計基準注解 注1-1参照)。

回収可能価額:その資産又は資産グループについて、正味売却価額と使用価値のいずれか高いほうの金額

2.正味売却価額とは

減損会計における回収可能価額とは、上記1のとおり正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額をいいます。
ここで正味売却価格と使用価値とは何かについてみていきましょう。

正味売却価額とは、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して求められる価額をいいます(固定資産の減損に係る会計基準注解 注1-2参照)。

正味売却価額:資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して求められる価額

正味売却価額とは、「今すぐにその資産を売った場合いくら入ってくるのか?」を表す価額といえます。

上記の時価とは公正な評価額をいい。通常それは観察可能な市場価格をいい、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額(例えば「不動産鑑定評価基準」に基づいて算定された価格など)をいいます。
また処分費用見込額の算定については、企業が類似の資産に関する過去の実績や処分を行う業者からの情報などを参考に現在価値として見積ることになります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針28-3参照)。

2.使用価値とは

正味売却価値とは、上記のとおり「今すぐ売った場合いくら入ってくるか」を表す価値を言います。これに対して使用価値とはどのような価額を言うのでしゅうか。
使用価値とは今すぐ売却するのではなく、「資産すぐには売らずに、そのまま継続的に使用し続けた場合いくら入ってくるのか」を表す価値をいいます(固定資産の減損に係る会計基準注解 注1-3参照)。

使用価値:資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値の合計/strong>

使用価値は当該資産又は資産グループを継続的に使用した場合に得られる将来キャッシュ・フロー(収入から経費を差し引いた金額)と、使用後に処分(売却など)した場合のキャッシュ・フローを割引計算して求められます。

なお、使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積る必要があります。
また将来キャッシュ・フローの見積もり期間については、資産(または資産グループのうちの主要な資産)の経済的残存耐用年数について見積もることになります。
将来キャッシュ・フローの見積りには、利息の支払額や法人税等の支払額・還付額などは含めないことに注意が必要となります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針36項以降参照)。

(関連ページ)
減損損失の測定方法と仕訳の基礎(減損会計)

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