取引先に対する売掛金や受取手形などの営業債権や貸付金などの金銭債権は、将来取引先が倒産した場合などにおいて、回収することができなくなる恐れがあります。
そこで将来において、これらの債権のうち、どのくらいの金額が回収不能となるか(貸し倒れるか)を見積り、実際に回収不能となった時に備えて、あらかじめ一定の金額を準備しておく処理をおこないます。このあらかじめ準備しておいた金額を貸倒引当金といいます。
貸倒引当金を設定する時の処理は、決算時において、保有する債権の将来の貸倒額を見積り、これを『貸倒引当金』勘定を使って貸方に記帳すると同時に、借方には『貸倒引当金繰入』という費用勘定を使って記帳することになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 貸倒引当金 |
『貸倒引当金』勘定は貸方に金額を記帳していますが、負債勘定ではなく、売掛金や受取手形などの資産勘定に対するマイナス評価を表す勘定科目となります(マイナス資産の勘定とイメージしてください)。
また、『貸倒引当金繰入』勘定は費用勘定となりますが、これは将来において債権が回収不能となったとしても、その原因は、当期以前に発生した債権や債権を取り巻くさまざまな事象にあるわけですから、貸倒引当金設定した時の費用として処理することが必要なためです。
演習問題:貸倒引当金に設定の基礎
決算時において、売掛金の残高1,000円に対し、その5%である50円の貸倒引当金を設定した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 50 | 貸倒引当金 | 50 |
決算時において貸倒引当金を設定する時は、その設定額を『貸倒引当金』というマイナス資産の勘定の貸方に記帳すると同時に、その相手勘定は『貸倒引当金繰入』という費用勘定を使って記帳します。
(関連ページ)
差額補充法(貸倒引当金の設定)の基礎