外貨建取引・前払金支払時の仕訳と換算

外貨建取引(売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引)において、商品売買に先だち外貨で前払金(前渡金)を支払った時は、前払金支払時の為替レートを使って外貨額を円貨に換算し、換算額を『前払金』勘定を使って記帳します。

1.前払金支払時の換算と仕訳

例えば、アメリカの取引先から100ドルの商品を仕入れるにあたり、仕入日前に前払金として30ドルを現金で支払った時(前払金支払時の為替相場は1ドル100円)の仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
前払金 3,000 現金 3,000

前払金支払時の為替相場は1ドル100円です。支払った外貨金額が30ドルですので、30ドル×@100円=3,000円を取引金額とし、この金額をもって前払金を計上することになります。

2.商品仕入時の換算と仕訳

外貨建取引については取引発生時の為替レートを使用して外貨金額を円換算し、算定した円貨で記帳処理を行います。商品仕入時においては、仕入時の為替レートで外貨額を円換算し、算定した円貨金額で『仕入』勘定を使い記帳することになります。

しかし仕入金額のうち前払金が充当される部分については、前払金の金銭授受時の為替相場による円換算額を付し、残りの部分については、取引発生時の為替相場により換算することになります(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針26項本文参照)。

したがって上記1における仕入取引の商品仕入時の仕訳は、商品代金100ドルのうち30ドルは前払金(前払金の金銭授受時の為替相場による円換算額3,000円)で充当することとなりますので、残りの70ドルについて商品仕入時の為替相場と換算し、前払金3,000円と合計して仕入金額を算定することになります。

たとえば、商品仕入時における為替相場が1ドル105円であった場合の商品仕入時の仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,350 前払金 3,000
買掛金 7,350

まず商品の仕入金額100ドルのうち、30ドルは前払金で充当されます。前払金の支払時の為替相場は1ドル100円ですので、前払金30ドルの円換算額は30ドル×@100円=3,000円となります(すでに上記1において円貨で記帳済みの金額を使用します)。
残りの70ドルについては商品仕入時の為替相場で円換算額を算定します。商品仕入時の為替相場は1ドル105円ですので、その円換算額は70ドル×@105円=7,350円となります(後日支払のため買掛金として記帳します)。

(関連ページ)
外貨建取引・取引発生時の仕訳と換算
外貨建取引・前受金受け取り時の仕訳と換算
外貨建前払金(前渡金)の決算時の換算について
外貨建の買掛金決済時の仕訳と換算

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