割賦販売(販売基準)の仕訳・記帳

割賦販売とは、お客さんへの商品の引き渡しを先に行い、代金は後から一定期間にわたり分割で受け取る形態の商品販売をいいます。
割賦販売においても、通常の売掛金販売などと同様に、原則として商品を引き渡した日(販売した日)に売上収益を計上することとなります(販売基準といいます)。

割賦販売(販売基準)において、お客さんに商品を引き渡した時の仕訳は、『割賦売上』という売上収益を計上すると同時に、『割賦売掛金』という代金回収債権(資産)を使って記帳することになります。

借方 金額 貸方 金額
割賦売掛金 割賦売上

一般商品売買における『売上』『売掛金』と同様の処理となりますが、一般商品売買と区分するため『割賦売上』『割賦売掛金』を使用して記帳します。

割賦販売であっても、商品を引き渡した時点で「資産又は役務の移転(商品の提供)」と「対価としての貨幣性資産(割賦売掛金)の獲得」という収益実現の要件(実現主義)を満たすため、原則として商品の引き渡し時に売上収益の計上を行うこととなります。
ただし、割賦販売は代金回収期間が長期にわたり、代金回収関わる危険性や不確実性が大きいことから、その収益認識には、販売基準のほか回収基準・回収期限到来基準など特別な取扱いが認められています。

演習問題:割賦販売(販売基準)

当社は×1年4月1日に山田商店に商品を9,000円で販売した、代金は毎年3月31日に3,000円ずつ現金で受け取ることになっている。
この取引について、以下の時点における仕訳を示しなさい(なお収益の認識は販売基準によるものとする)。

1.×1年4月1日の商品の引き渡し時
2.×2年3月31日の割賦金の回収時

1.×1年4月1日の商品の引き渡し時の仕訳
借方 金額 貸方 金額
割賦売掛金 9,000 割賦売上 9,000

当社は割賦販売の収益認識の基準として販売基準の採用しています。したがって商品の引き渡し時に売上収益が実現したものとして処理することとなりますので、商品の引き渡し時に『割賦売上』という売上収益を計上します。

2.×2年3月31日の割賦金の回収時の仕訳
借方 金額 貸方 金額
現金 3,000 割賦売掛金 3,000

販売基準では商品の引き渡し時に割賦販売に係る販売金額(9,000円)を全額売上収益として計上しています。よって代金回収時において売上収益に関する仕訳は必要ありませんので、通常の売掛金の回収と同様の処理を行います。

(関連ページ)
未実現利益整理法の基礎(割賦販売)
回収期限到来基準の仕訳(未実現利益整理法の場合)

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