通常、小切手の日付は実際の振出日の日付を記入することになりますが、当事者間において将来の一定期日まで銀行に持ち込まない約束をし、振出日として将来の日付の記載された小切手を振り出すことがあります。これを先日付小切手といい、先日付小切手を受け取った時は『受取手形』または『受取先日付小切手』勘定(流動資産)、逆に先日付小切手を振り出したときは『支払手形』または『支払先日付小切手』勘定(流動負債)を使って記帳します。
先日付小切手は振出人の資金繰りなどの関係から将来の一定期日まで銀行に持ち込まないとの約束などをもとに振り出されるものであり、その実体は受取手形や支払手形と同様のものと考えられますので、手形勘定を使って記帳することになります。
演習問題:先日付小切手の受取と振出
A社(売手)はB社(買手)に商品3,000円を販売し、代金として将来の日付(1か月後)が振出日として記載されたで小切手を受け取った。
A社及びB社の仕訳を示しなさい。
1.先日付小切手を受け取ったA社の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
受取手形 | 3,000 | 売上 | 3,000 |
2.先日付小切手を振り出したB社の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 3,000 | 支払手形 | 3,000 |
上記の『受取手形』『支払手形』勘定はそれぞれ『受取先日付小切手』『支払先日付小切手』勘定を使っても構いません(簿記検定などでは問題の指示に従ってください)。
なお、小切手の日付が将来の日付になっていたとしても小切手の所持人が金融機関に持ち込めば当座預金口座から支払う義務があります。この場合、当座預金口座の残高が小切手の金額から不足していた場合、不渡りが発生してしまうリスクがあります。先日付小切手はあくまでも振出人と受取人との信頼関係に基づくものであり、思わぬリスクを有していることに注意が必要となります。