有形固定資産の減価償却費の算定方法のうち、定額法(ていがくほう)とは、期首の帳簿価額(固定資産の未償却の残高)に一定率を乗じた金額を各期の減価償却費として計上する方法をいいます。
この方法では、以下の算式により、毎年の減価償却費を算定することになります。
減価償却費=帳簿価額×定率法償却率 |
帳簿価額とは、固定資産の取得原価から前期末までに計上した減価償却費の累計額を控除した残額(未償却残高)をいい、減価償却費の記帳方法により、以下の算式によって算定します。
直接法による帳簿価額=固定資産勘定の借方残高 間接法による帳簿価額=固定資産勘定の借方残高-減価償却累計額勘定の貸方残高 |
また定率法の償却率は耐用年数ごとに決まっており、簿記検定などの試験問題では通常は問題文で与えられます。
定率法の減価償却費は、期首の帳簿価額(固定資産の未償却残高)に定率法の償却率を乗じることによって算定されます。未償却残高は毎年減価償却費を計上するたびに逓減していきますので、これに償却率を乗じることによって求められる定率法の減価償却費も毎年逓減していくことになります(定額法による減価償却費と比べ、固定資産の取得当初においては、より多額の減価償却費を計上することができますが、その金額は年々小さくなっていきます)。
演習問題:減価償却費の算定方法(定率法)
1.取得1年目の減価償却費の算定
×1年1月1日(期首)において購入した以下の本社建物Aについて、×1年12月31日決算日において必要な仕訳を示しなさい。
(建物A)
取得原価:5,000,000円
耐用年数:20年
償却率:0.100
減価償却費の記帳方法:間接法
なお、建物Aは×1年1月1日に購入後、ただちに本社建物として使用を開始している。
(計算過程)
建物Aの減価償却費=帳簿価額5,000,000円×償却率0.100=500,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 500,000 | 減価償却累計額 | 500,000 |
本社建物Aは当期首に取得しているため、帳簿価額(固定資産の未償却残高)は取得原価と一致します。定率法による減価償却費は帳簿価額(初年度は取得原価と一致)に定率法の償却率を乗じて算定します(期中取得の場合は月割計算が必要です)。
2.取得2年目以降の減価償却費の算定
上記1の本社建物Aについて、×2年12月31日決算日において必要な仕訳を示しなさい。
(計算過程)
定率法では帳簿価額(固定資産の期首における未償却の残高)に定率法の償却率を乗じて減価償却費を算定します。上記の本社建物Aは前期においてすでに減価償却費を計上していますので、未償却残高は取得原価から前期までに計上した減価償却費の合計を控除することによって算定します。
建物Aの減価償却費=帳簿価額(5,000,000円-500,000円)×償却率0.100=450,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 450,000 | 減価償却累計額 | 450,000 |
×1年度の減価償却費計上額は500,000円ですが、×2年度の計上額は450,000円となっています。定率法では未償却残高に償却率を乗じて減価償却費を算定するため、未償却残高の減少に合わせて毎年の減価償却費計上額も減少していきます。
(関連ページ)
定額法(ていがくほう)による減価償却費の計算と仕訳