外貨建買掛金の決算時の換算は決算時の為替レート(CR)を使って換算します。
なお輸出入などの外貨建取引は取引発生時の為替レート(HR)を使って円換算し、当該円貨額をもちいて仕訳や記帳を行います。したがって外貨建の買掛金などの外貨建金銭債権債務についても、これらの金銭債権債務の発生時の為替レートで円換算された金額で記帳されています。
よって外貨建買掛金を決算時の為替レートで円換算することにより、取引発生時の為替レート(HR)と決算時の為替レート(CR)との差額に買掛金の外貨額を乗じた金額の分だけ換算差額が生じます。これは『為替差損益』として記帳し、決算時の損益(営業外損益)として処理します。
為替差損益=買掛金の外貨額×(取引発生時の為替レート-決算時の為替レート) |
演習問題:外貨建買掛金決算時の記帳
1.仕入時の仕訳
ドイツの取引先より商品を仕入れ、代金は掛けとした。なお商品の購入価格は20ユーロであり、仕入時の為替レートは1ユーロ120円であった。
(計算)
仕入価格:20ユーロ×@120円=2,400円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 2,400 | 買掛金 | 2,400 |
商品仕入時は仕入時の為替レートを使って換算します。したがって20ユーロの買掛金の帳簿価額はこれを取引発生時の為替レート@120円で換算した2,400円となります。
2.決算時の仕訳
上記1のユーロ建て買掛金について決済前に決算日を迎えた。なお決算時の為替レートは1ユーロ110円であった。
(計算)
決算時の円換算額:20ユーロ×@110円=2,200円
為替差損益:帳簿価額2,400円-決算額2,200円=200円(為替差益)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 2,400 | 現金 | 2,200 |
為替差損益 | 200 |
買掛金などの外貨建金銭債権債務は外貨額を決算時の為替レート(CR)で換算します。したがって帳簿価額(取引発生時の為替レートで換算)と決算時の為替レートによる換算額が異なる場合は両者の間に貸借差額が生じます(上記設問では200円の貸借差額が生じています)。
この差額は為替レートの変動による差額であり、『為替差損益』という営業外損益の勘定科目を使って記帳し、当期の損益として処理します。
3.買掛金決済時の仕訳
上記1,2のユーロ建て買掛金を現金で決済した。なお代金決済時の為替レートは1ユーロ115円であった。
(計算)
現金決済金額:20ユーロ×@115円=2,300円
為替差損益:帳簿価額2,200円-決済額2,300円=▲100円(為替差損)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 2,200 | 現金 | 2,300 |
為替差損益 | 100 |
買掛金の決済時は支払った外貨額を決済時の為替レートで換算します。したがって帳簿価額(決算時の為替レートで換算)と決済時の為替レートによる換算額が異なる場合は両者の間に貸借差額が生じます(上記設問では100円の貸借差額が生じています)。
当該差額については代金決済時に『為替差損益』として記帳し、代金決済時の損益として処理します。
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