外貨建売掛金の決算時の換算は決算時の為替レート(CR)を使って換算します。
なお輸出入などの外貨建取引は取引発生時の為替レート(HR)を使って円換算し、当該円貨額をもちいて仕訳や記帳を行います。したがって外貨建の売掛金などの外貨建金銭債権債務についても、これらの金銭債権債務の発生時の為替レートで円換算された金額で記帳されています。
よって外貨建売掛金を決算時の為替レートで円換算することにより、取引発生時の為替レート(HR)と決算時の為替レート(CR)との差額に売掛金の外貨額を乗じた金額の分だけ換算差額が生じます。これは『為替差損益』として記帳し、決算時の損益(営業外損益)として処理します。
為替差損益=売掛金の外貨額×(取引発生時の為替レート-決算時の為替レート) |
演習問題:外貨建売掛金決算時の記帳
1.売上時の仕訳
イギリスの取引先へ商品を販売し、代金は掛けとした。なお商品の販売金額は外貨建で30ポンドであり、売上計上時の為替レートは1ポンド150円であった。
(計算)
売上計上額:30ポンド×@150円=4,500円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 4,500 | 売上 | 4,500 |
商品売上時は売上時の為替レートを使って換算します。したがって30ポンドの売掛金の帳簿価額はこれを取引発生時の為替レート@150円で換算した4,500円となります。
2.決算時の仕訳
上記1のポンド建て売掛金について決済前に決算日を迎えた。なお決算時の為替レートは1ポンド125円であった。
(計算)
決算時の円換算額:30ポンド×@125円=3,750円
為替差損益:決算時の価額3,750円-帳簿価額4,500円=▲750円(為替差損)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
為替差損益 | 750 | 売掛金 | 750 |
売掛金などの外貨建金銭債権債務は外貨額を決算時の為替レート(CR)で換算します。したがって帳簿価額(取引発生時の為替レートで換算)と決算時の為替レートによる換算額が異なる場合は両者の間に貸借差額が生じます(上記設問では750円の貸借差額が生じています)。
この差額は為替レートの変動による差額であり、『為替差損益』という営業外損益の勘定科目を使って記帳し、当期の損益として処理します。
3.売掛金決済時の仕訳
上記1,2のポンド建て売掛金を現金で決済した。なお代金決済時の為替レートは1ユーロ130円であった。
(計算)
現金決済金額:30ポンド×@130円=3,900円
為替差損益:決済金額3,900円-帳簿価額3,750円=150円(為替差益)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 3,900 | 売掛金 | 3,750 |
為替差損益 | 150 |
外貨建売掛金の決済時は受取った外貨額を決済時の為替レートで換算します。したがって帳簿価額(決算時の為替レートで換算)と決済時の為替レートによる換算額が異なる場合は両者の間に貸借差額が生じます(上記設問では150円の貸借差額が生じています)。
当該差額については決済時に『為替差損益』として記帳し、代金決済時の損益として処理します。
(関連ページ)
外貨建取引・取引発生時の仕訳と換算
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