外貨建貸付金の決算時の換算について

外貨建の貸付金の決算時の換算は決算時の為替レート(CR)を使って換算します。

なお、外貨建貸付金は貸付時において取引発生時の為替レート(HR)を使って円換算し、当該円貨額をもちいて仕訳や記帳を行っています。
よって決算時において外貨建貸付金を決算時の為替レート(CR)で円換算することにより、貸付時の為替レート(HR)と決算時の為替レート(CR)との差額に貸付金の外貨額を乗じた金額の分だけ換算差額が生じます。これは『為替差損益』として記帳し、決算時の損益(営業外損益)として処理します。

為替差損益=貸付金の外貨額×(貸付時※の為替レート-決算時の為替レート)

※ 前期末の決算時に換算替えを行っている場合は前期末の為替レートとなります。

なお、未収利息のなどを見越計上する場合においては、外貨により算定された未収利息についても決算時の為替レート(CR)で円貨に換算することになります(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 第27項参照)。

演習問題:外貨建貸付金の決算時の換算

1.貸付時の仕訳

アメリカの取引先へ1,000ドルを貸し付けた。なお貸付時の為替レートは1ドル100円であり、当該貸付額を現金で支払った。

(計算)
貸付額:1,000ドル×@100円=100,000円

借方 金額 貸方 金額
貸付金 100,000 現金 100,000

金銭の貸付時は取引発生時(貸付時)の為替レートを使って換算します。したがって1,000ドルの貸付金の帳簿価額はこれを取引発生時の為替レート@100円を乗じた100,000円となります。

2.決算時の仕訳

上記1のドル建て貸付金について決済前に決算日を迎えた。なお決算時の為替レートは1ドル120円であった。なお当該貸付金に関する未収利息は20ドルであるものとする。

(計算)
決算時の円換算額:1,000ドル×@120円=120,000円
為替差損益:決算時の円貨額120,000円-帳簿価額100,000円=20,000円(為替差益)
未収利息:20ドル×@120円=2,400円

借方 金額 貸方 金額
貸付金 20,000 為替差益 20,000
未収利息 2,400 受取利息 2,400

貸付金や売掛金などの外貨建金銭債権債務は外貨額を決算時の為替レート(CR)で換算します。したがって帳簿価額(取引発生時の為替レートで換算)と決算時の為替レートによる換算額が異なる場合は両者の間に貸借差額が生じます(上記設問では20,000円の貸借差額が生じています)。
この差額は為替レートの変動による差額であり、『為替差損益』という営業外損益の勘定科目を使って記帳し、当期の損益として処理します。
なお、外貨建ての未収収益(未収利息)については決算時の為替レート(CR)で換算するため、未収利息20ドルに決算時の為替レート@120円を乗じて未収利息を算定します。

(関連ページ)
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