決算時の換算について、外貨建による売買目的有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場(CR)により円換算した額により評価し、換算替えによって生じた換算差額は有価証券評価損益(営業外利益または営業外費用)として処理することになります(外貨建取引等会計処理基準一・2参照)。
外貨建売買目的有価証券の決算時の価額=外貨による時価×決算時の為替レート 外貨建有価証券の決算時の換算額-換算前の帳簿価額=有価証券評価損益 |
上記の評価差額の中には、外貨による時価変動差額と為替相場の変動差額の2つの性質をもつ差額金額が含まれますが、これらはまとめて有価証券評価損益として処理することになります。
なお評価差額の翌期首以降の取り扱いについては、外貨建以外による売買目的有価証券と同様に洗替法あるいは切放法いずれかによって処理することになります。
演習問題:外貨売買目的有価証券の決算時の換算
決算時における為替レートは1ドル120円であるものとし、期中に取得した以下の外貨建有価証券について決算時に必要な仕訳を示しなさい。
銘柄 | 保有目的 | 取得原価 | 取得時のレート | 決算時の時価 |
A社株式 | 売買目的 | 100ドル | 100円 | 98ドル |
(計算)
決算時の円貨額:外貨による時価98ドル×決算時のレート@120円=11,760円
換算差額:決算時の円貨額11,760円-取得時の円貨額(100ドル×@100円)=1,760円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
有価証券 | 1,760 | 有価証券評価損益 | 1,760 |
決算時の価額(11,760円)が取得原価(帳簿価額10,000円)を上回っているため評価益1,760円が計上されます。
上記の評価差額には外貨による時価評価差額(時価が100ドルから98ドルへと下落した影響による差額)と為替相場の変動差額(為替レートが1ドル100円から120円へと変動した影響による差額)とが含まれますが、これらはまとめて有価証券評価損益(営業外収益または営業外費用)として処理します。
(このページと関連するページ)
外貨建満期保有目的の債券(償却原価法なし)の決算時の換算
償却原価法を適用する外貨建満期保有目的の債券の決算時の換算
外貨建(ドル建て)子会社関連会社株式の決算時の換算
外貨建(ドル建て)その他有価証券の決算時の換算