外貨建(ドル建て)その他有価証券の決算時の換算の容認規定

決算時の換算について、外貨建によるその他有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場(CR)により円換算した額により評価し、換算替えによって生じた換算差額は、原則として、全部純資産直入法または部分純資産直入法など採用したその他有価証券の評価差額の取り扱い方法に従いその他有価証券評価差額金(純資産)、または投資有価証券評価損益(営業外利益または営業外費用)として処理することになります(外貨建取引等会計処理基準一・2参照。原則的な処理については外貨建(ドル建て)その他有価証券の決算時の換算をご参照ください)。

ただし、その他有価証券のうちの債券については、決算時における換算差額のうち、外国通貨による時価の変動に係る換算差額(外貨による時価と原価の差額をCRを乗じて算定される金額)を評価差額とし、それ以外の部分については為替差損益として処理することができます(容認規定。外貨建取引等会計処理基準注解・注10参照)。

(外貨建その他有価証券のうち債券についての評価-容認)
・外貨建有価証券の期末評価額=外貨による時価×決算時の為替レート・評価差額=(外貨による時価-外貨による原価)×決算時のレート

・為替差損益=期末評価額-(評価差額+換算前帳簿価額)

上記の処理はあくまでも基準注解の容認規定です。原則としては決算時の換算差額はすべて評価差額の取り扱い方法に従って『その他有価証券評価差額金』または『投資有価証券評価損』として処理します(なお償却原価法適用時は償却額について有価証券利息とする)。試験問題などでは問題分に指示がある場合のみ上記のような処理を行ってください。

演習問題:外貨建その他有価証券の債券の容認規定

決算時における為替レートは1ドル120円であるものとし、期中に取得した以下の外貨建有価証券について決算時に必要な仕訳を示しなさい(税効果会計の適用はないものとする)。

銘柄 保有目的 取得原価 取得時のレート 決算時の時価
G社社債 その他 1,000ドル 100円 1,100ドル

※ 上記の外貨建債券については償却原価法は適用しない。ただし、評価差額の取り扱いについて外貨基準注解10の規定(外国通貨による時価の変動に係る換算差額を評価差額とし、それ以外の換算差額については為替差損益として処理する)を適用するものとする。

(計算)
取得原価(帳簿価額):外貨による原価1,000ドル×取得時のレート@100円=100,000円
決算時評価額:外貨による時価1,100ドル×決算時のレート@120円=132,000円
評価差額:(外貨による時価1,100ドル-外貨による原価1,000ドル)×決算時のレート@120円=12,000円
為替差損益:決算時評価額132,000円-(評価差額12,000円+取得原価100,000円)=20,000円

借方 金額 貸方 金額
投資有価証券 32,000 その他有価証券評価差額金 12,000
為替差損益 20,000

その他有価証券の時価評価差額には、外貨建有価証券の外貨による時価の変動差額と、為替相場の変動による差額とが含まれますが、これらの差額については、原則的にはこれらを区分することなく評価差額の処理方法に従い、『その他有価証券評価差額金』または『投資有価証券評価損』として処理します。

ただし、外貨建その他有価証券のうち債券についてはこれらを区分して記帳し、上記のうちの後者を『為替差損益』として処理することができます。本設問では問題文に注解10の容認規定の適用の指示がありますので、これらのを区分し処理することになります。

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