割賦販売・対照勘定法における戻り商品の会計処理

割賦販売の収益認識基準として回収基準や回収期限到来基準を採用しており、対照勘定法により記帳している場合、割賦売掛金の回収不能に伴い取り戻した商品(戻り商品)の会計処理のポイントは以下の通りです。

回収基準・対照勘定法における戻り商品の仕訳

1.前期において、売手が売価1,000円(割賦販売の原価率は80%、当該割賦商品の仕入原価は800円)の商品を5回の分割払いでお客さんに引き渡し、第1回目の割賦金200円を現金で無事に回収できたとします。この場合、商品の引き渡し時及び代金回収時において対照勘定を用いて以下のように仕訳しています。

(商品引渡し時)
借方 金額 貸方 金額
割賦売掛金 1,000 割賦仮売上 1,000
(代金回収時)
借方 金額 貸方 金額
現金 200 割賦売上 200
割賦仮売上 200 割賦売掛金 200

2.割賦金の第1回の回収後、決算を迎えたとします。割賦金の未回収金額800円に対応する原価は640円(=未回収金額800円×原価率80%)ですので、決算時には以下のようにこれを期末商品として繰り越す処理を行います。

(決算時)
借方 金額 貸方 金額
割賦商品 800 仕入 800

3.当期において割賦金を1円も回収できずに回収不能となり、割賦商品を取り戻したとします。この場合は割賦金の回収不能金額(800円)について対照勘定を相殺消去するための仕訳をおこないます。

(代金回収不能時)
借方 金額 貸方 金額
割賦仮売上 800 割賦売掛金 800

4.割賦金の回収不能部分に対応する原価640円について、商品取戻し時の評価額が300円であったとします。この商品が決算時に売れ残っている場合には以下のような仕訳を行います。

(決算時)
借方 金額 貸方 金額
仕入 640 割賦商品 640
繰越商品 300 仕入 640
戻り商品損失 340

前期末において未回収の割賦売掛金に対応する商品の原価は『割賦商品』という資産勘定で処理され当期に繰り越されてきています。したがって他の期首商品と同様に決算時にこれを仕入勘定へ振り替えます。
また決算時に未販売であれば再度『仕入』勘定から『繰越商品』勘定へ振り替え翌期に繰り越します。
ただし、取り戻した時の商品の評価額が300円であり、もともとの原価640円から340円低くなっています。これは『戻り商品損失』という費用勘定(一種の商品評価損)を使って処理し、翌期に繰り越す商品原価から差し引くことになります。

なお上記の処理方法のほかに、商品の取戻し時において戻り商品損失を計上する方法もあります。試験問題などでは問題文の指示に従って処理してください。

(関連ページ)
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