外貨建取引(売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引)において、商品の販売に先だち外貨で前受金を受け取った時は、前受金受け取り時の為替レートを使って外貨額を円貨額に換算し、換算額を『前受金』勘定を使って記帳します。
1.前受金受取時の換算と仕訳
例えば、アメリカの得意先へ商品を500ドルで輸出するにあたり、前受金として50ドルの現金を受け取った時(前受金受け取り時の為替レートは1ドル100円)の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 5,000 | 前受金 | 5,000 |
前受金受取時における為替レートは1ドル100円です。前受金として受け取った外貨が50ドルですので、50ドル×@100円=5,000円を取引金額とし、この金額をもって前受金を計上することになります。
2.商品売上時の換算と仕訳
外貨建取引については取引発生時の為替レートを使用して外貨金額を円換算し、算定した円貨で記帳処理を行います。商品販売時(売上時)においては、売上時の為替相場で外貨額を円換算し、算定した円換算額によって『売上』計上することになります。
しかし売上金額のうち前受金が充当される部分については、前受金の金銭授受時の為替レートによる円換算額を付し、残りの部分については、取引発生時の為替相場により換算することになります(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針26項本文参照)。
したがって上記1における輸出取引の商品販売時の仕訳は、外貨による売上金額500ドルのうち50ドルは前受金(前受金の金銭授受時の為替レートによる円換算額5,000円)で充当することとなりますので、残りの450ドルについて商品販売時の為替レートによって円換算し、先に計上した前受金5,000円と合算して円貨による売上計上額を算定することになります。
たとえば、上記1の例において商品販売時における為替レートが1ドル110円であった場合の商品販売時の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前受金 | 5,000 | 売上 | 54,500 |
売掛金 | 49,500 |
まず商品の外貨による売上金額500ドルのうち、50ドルの部分については前受金で充当します。前受金受取り時の為替レートは1ドル100円ですので、前受金50ドルの円換算額は50ドル×@100円=5,000円となります(すでに上記1において円貨で記帳済みの金額を使用します)。
残りの450ドルの部分については商品販売時の為替レートで円換算額を算定します。商品販売時の為替レートは1ドル110円ですので、その円換算額は450ドル×@110円=49,500円となります(後日に金額を受け取るため売掛金として仕訳しています)。
(関連ページ)
外貨建取引・取引発生時の仕訳と換算
外貨建取引・前払金支払時の仕訳と換算
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外貨建の売掛金決済時の仕訳と換算