棚卸資産の払出数量の計算方法の基礎

商品や製品など棚卸資産の数量の計算方法には、継続記録法(恒久棚卸法)と棚卸計算法(定期棚卸法)との2つの方法があります。それぞれの内容及び特徴は以下のようになります(連続意見書第四 第一・六参照)。

(継続記録法と棚卸計算法)
継続記録法 継続記録法とは、棚卸資産を払い出す都度に払い出した棚卸資産の数量を商品有高帳などに記録しておき、一定期間における棚卸資産の払出数量の合計は、記録しておいた払出数量を合計することにとって算定する方法です。

一定期間における払出数量=それぞれ記録した払出数量の合計

払出数量をその都度記録しておくということは、受入数量の合計から記録した払出数量を差し引くことにより、いつでも棚卸資産の在庫数量を帳簿上において把握することができることを意味し、今いくつ残っているか帳簿上把握できるということは、棚卸資産の在庫管理の観点からはより優れた方法であるといえます。
ただし、期中に正規の払出以外の原因による在庫の減少(盗難や災害・破損など棚卸減耗といいます)があってもそれを把握することができないため、この方法だけによった場合、期末在庫数量や損益計算の正確性を担保することができなくなる恐れがあります。
また、払出の都度に数量を記帳しておくという作業は事務処理の観点からはより負担の大きい方法であるといえます。

棚卸計算法 棚卸計算法とは、棚卸資産の払出数量を算定するのではなく、期末など特定の時期に実地棚卸(実際に商品などが何個残っているか数を数えること)を行う方法をいいます。この方法において一定期間における棚卸資産の払出数量の合計を算定するには、一定期間における棚卸資産の受入数量の合計から実際に数を数えた在庫数量を差し引くことにより間接的に払出数量を算定することになります。

一定期間における払出数量=一定期間における受入数量-実地棚卸数量

この方法は、上記の継続記録法のように期中に払出の都度、数量を記録するなどの処理を行いませんので期中の実務処理の観点からは負担の少ない方法であるといえます。
また、期中に正規の払出以外の原因による在庫の減少(棚卸減耗)があっても、これらは期末の在庫数量としてカウントされませんので、正規の払出以外の原因による在庫減少も損益計算に反映さえることができ、損益計算の観点からはより正確な方法といえます。
ただし、期末になるまで在庫の数量が帳簿上わからないため、在庫の管理や仕入数量の調整の観点からは不十分な方法であるといえます。

一般的には期中は継続記録法により払出数量を記録しておくことにより、在庫管理のために必要な情報を帳簿上明らかにし、また期末には実地棚卸を行い正規の原因以外による在庫の減少を把握し、損益計算の正確性を確保するのが望ましいといえます(重要性の乏しい棚卸資産については、事務処理の簡便性の観点から棚卸計算法のみにより記帳することは、重要性の原則に即した方法であるといえます)。

なお、棚卸資産の払出単価の計算方法との関係においては、先入先出法総平均法は継続記録法と棚卸計算法のいずれにおいても適用可能ですが、移動平均法は数量と原価をともに記帳する継続記録法と、売価還元法は売価による継続記録法のみにおいて適用可能となります。

(関連ページ)
棚卸減耗損の算定方法の基礎

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