商品の払出単価の決定方法の基礎

例えば、小売店が卸業者から1週間前と同じ商品を仕入れた場合であっても、仕入日によって仕入価格が異なる場合があります。
この場合、この商品が売れたとしてもいつ仕入れた商品が売れたのか、あるいは期末に商品が売れ残った場合、いつの仕入日の商品が売れ残ったのか決定しなければ、その期間の利益も期末の商品残高も算定することはできません。

本来であれば、いつ仕入れた商品が実際に売れたのか厳密に記録しておくべきようにも思えますが、商品や取引数の膨大な現在の企業でそのような記録を厳密に残すことは非現実的な作業となります。
そこで会計上はいつ仕入れた商品が売れたのか、あるいは期末に残っているのかを一定のルール(商品の払出単価の決定のためのルール)を仮定し、このルールに従って売れた商品の単価(払出単価)や期末商品の単価を決定することにしています。

商品(棚卸資産)の払出単価の決定するためのルールには以下のようなものがあります。

(商品の払出単価の算定ルール)
先入先出法 先入先出法とは、先に仕入れた商品から順番に売れるものと仮定して、商品の払出単価を決定する方法をいいます。

実際に、先に仕入れた商品から順次販売するのが一般的だと思われますので、実際のモノの流れを重視した方法であるといえます。

平均法 平均法とは、商品の平均単価を算定し、この平均単価をもとに払出単価を決定する方法をいいます。

なお平均単価の決定については、商品を仕入れるたびに平均単価を算定し直す移動平均法と一定期間ごとに平均単価をまとめて算定する総平均法とがあります。

個別法 個別法とは、取得原価の異なる商品ごとに区別して記録しておき、商品が売れた場合には、その売れた商品の実際の取得原価をもって払出単価とする方法です。

個別法は非常に厳密な方法ですが、商品の個別管理が必要となり大量の商品を扱うような場合はその作業量の多さから現実的な方法とはいえません。したがって、宝石や美術品・不動産などより個別性が強い商品の払出単価の算定の際にのみ用いられる方法となります。

最終仕入原価法 事業年度の最後の仕入単価を使って期末棚卸資産の価格を算定し、売上原価(商品の払出原価の合計)については差額で算定する方法です。
税務において適用が認められており、中小事業者などで広く採用される方法です。

上記のほか、現行の制度会計外の方法として後入先出法などがあります。

(関連ページ)
棚卸資産の払出数量の計算方法の基礎

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