繰延資産とは(総論)

繰延資産とは、『すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用』をいい、これらの費用はその効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができるものとされています(企業会計原則注解・注16参照)。

企業会計基準委員会「実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」において、繰延資産として取り扱う項目として以下の5つを挙げています。

1.株式交付費
2.社債発行費等(新株予約権の発行に係る費用を含む。)
3.創立費
4.開業費
5.開発費

繰延資産の会計処理については、原則として支出時などの費用として処理(すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けているため)することになりますが、その効果が将来にわたって発現するものと期待されるため、その支出額をいったん貸借対照表上繰延資産として計上し、その効果が及ぶ期間にわたって合理的に配分する(償却計算する)ことが認められます。

会計上の繰延資産と税法上の繰延資産

いっぽう、税法では繰延資産について「法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう」(法人税法第2条第24号)と定義しており、特に上記のように特定の支出を列挙する形はとっておりません。

上記5つ(株式交付費・社債発行費等(社債等発行費)・創立費・開業費・開発費)は税法上の繰延資産に対し、特に会計上の繰延資産と呼ばれることがあります。

なお会計上の繰延資産の税務上の償却額については繰延資産の額を償却限度額とした任意償却、すなわち各期の損金の計上額は損金経理を条件として会社の経理にゆだねられることになります(そのほかの税法の繰延資産についてはその支出額を、支出の効果の及ぶ期間の月数で按分した金額を各期の償却限度額とし、各期の損金として処理します 法人税法施行令第14条第1項 第64条第1項参照)。

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