満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券を満期保有目的の債券といいます。満期保有目的の債券を取得した時は、債券の償還期限が1年内に到来するものは『有価証券』勘定、1年を超えて到来するものは『投資有価証券勘定』を使って記帳します(満期保有目的の債券取得に関する仕訳は満期保有目的の債券の取得時(買った時)の仕訳をご参照ください)。
満期保有目的の債券の決算時における評価については、原則として取得原価をもって評価することになります(評価替えはしません)が、債券を額面金額と異なる価額で取得した場合において、取得価額と額面金額との差額の性格が金利調整差額であると認められる場合には償却原価法に基づいて算定された価額を貸借対照表価額として処理することになります。
なお償却原価法には定額法と利息法とがあります。このうち利息法とは、債券の帳簿価額に実効利子率を乗じた価額を利息配分額として各期の損益に配分する方法を言います(実効利子率とは、債券のクーポン受取総額と金利調整差額の合計額を債券の帳簿価額に対し一定率となるように設定される利率であり、試験問題などではあらかじめ与えられます)。
各期の損益配分額(有価証券利息)=債券の帳簿価額×実効利子率 |
上記の各期の損益として配分される金額を債券の券面利子額(クーポン利子)と金利調整差額と分けて、金利調整差額を帳簿価額に加減することにより、債券の取得価額と額面金額との調整を行います。
クーポン利子額=債券の額面金額×クーポン利子率 |
各期の帳簿価額調整額=各期の損益配分額-クーポン利子額 |
なお満期保有目的の債券の償却原価法の適用する場合、利息法を原則とし、定額法は継続適用を条件とした容認規定となっています(金融商品会計に関する実務指針70)
償却原価法による償却額については、債券の帳簿価額に加減すると同時に、『有価証券利息』勘定(営業外損益)を使って毎期の損益とします。例えば、償却原価法により債券の帳簿価額を加算する場合の仕訳は以下の通りとなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
投資有価証券 | 有価証券利息 |
演習問題:満期保有目的の債券の評価(償却原価法-利息法)
当社はB社社債(満期保有目的の債券)を×1年4月1日期首に970,000円(額面100円につき97円)で取得し代金は現金で支払った。
B社社債の償還期限は×4年3月31日(3年後)であり、クーポン利子率は年利0.5%(毎年3月31日に現金勘定で処理)、取得価額と額面金額との差額は金利調整差額であると認められる。
当社は満期保有目的の債券について償却原価法のうち原則的な方法によって処理するものとしている(実効利子率1.531%として計算する)。
×1年4月1日のB社社債の取得時、および×2年3月31日決算日における仕訳を示しなさい。
×1年4月1日取得日の仕訳
取得時は取得価額を使って記帳します。なお満期までの期限が1年を超えていますので増加する有価証券については『投資有価証券』勘定を使って記帳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
投資有価証券 | 970,000 | 現金 | 970,000 |
×2年3月31日決算日の仕訳
B社社債の取得価額970,000円と額面金額1,000,000円との差額は金利調整差額と認められるため償却原価法を適用する必要があります。本設例では償却原価法のうち原則的な方法を採用することになっていますので利息法によりで必要な処理を行います。
なお、本設例のようにクーポン利息を考慮する場合は額面金額にクーポン利子率を乗じて利息計上額を算定します。
(計算過程)
当期の損益配分額(有価証券利息):帳簿価額970,000円×実効利子率1.531%=14,851円
クーポン利息:額面金額1,000,000×クーポン利子率0.5%=5,000円
帳簿価額の調整額:有価証券利息14,851円-クーポン利息額5,000円=9,851円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
投資有価証券 | 9,851 | 有価証券利息 | 14,851 |
現金 | 5,000 | - | - |
×2年3月31日におけるB社社債の帳簿価額は取得原価970,000円と当期の償却額9,851円の合計である979,851円となります。
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